この映画を観たらアレを作ってしまう

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時代という言葉はなくならないと思うけれど、ものすごい勢いでテクノロジーが進化しているおかげで、時代とか時代性という言葉がもっている時間感覚が現実とかけ離れていっている。

そういう独り言をつぶやいたのは、テレビの下の引き出しに無造作に押しこまれたDVDを片づけていたとき。乳白色に塗装された木製の台で、ビデオテープの箱がきっちり収まる引き出しが3つついている見た目にも美しい機能的な家具でした。過去形なのはビデオ用設計のためDVDケースの背を上向きして入れるには5ミリだけ高さが足りないから。ビデオが自宅から消えた今、DVDを平積みで詰め込むためごちゃごちゃになってしまうのです。そのうちDVDも姿を消すでしょうけど。映画もネットで観る時代ですから。

その引き出しの奥から出てきたのが、是枝裕和監督の「歩いても歩いても」。失業中の男(阿部寛)が妻(夏川結衣)とその連れ子と共に、お盆に両親(樹木希林、原田芳雄)のもとへ里帰りする話です。何が起こるというわけでもない静かな映画ですが、非常にひと昔前的な生活の有り様や家族の心情が、映画ならではの手法できめ細やかに描かれています。台詞のひとつひとつが利きすぎていて、スイカ割りに墓参り、白い日傘とかあまりに典型的なモチーフを使いすぎている感もないこともないのですが、やっぱり上手い。一夜限りの大学の上映会で観たのですが、その夜のイギリス人たちはイングマール・ベルイマンとかフランソワ・トリュフォーの感覚で観ていたのでしょうか。

母親である樹木希林がその家の定番料理としてこしらえるのが、とうもろこしの天ぷら。家族が皆それを美味しそうに食べるんです。それも手づかみで。自分で作ってみると、とうもろこしの甘みと油の相性が絶妙で、素朴な味わいがやみつきに。普通の天ぷら粉で揚げていたのですが、オニオンバージ(ひよこ豆粉で作るインド風タマネギの天ぷら)のさくさく感がとうもろこしも合うことに気づき、ひよこ豆粉(グラム粉/gram flour/chickpea flour)に切り替えました。

この映画を観るたびに深夜であろうが朝であろうが、油をばちばちいわせる音と油の臭いが家に広がります。

とうもろこしの天ぷらもどき
レシピというほどのものではない覚え書き。
材料 (作りやすい量)ひよこ豆粉(gram flourまたの名はchickpea flour)100g/水 120cc程度/塩 ひとつまみ/とうもろこし 1本または320gの缶詰

ひよこ豆粉を使う場合は卵はいりません。スタンダードに天ぷら粉で作ってももちろん美味。オニオンバージ風にクミン、ターメリック、チリを入れてもよし、ベーキングパウダーを少量加えてふんわり感をだしてもよし(写真はベーキングパウダー小さじ1/4程度入れたバージョン)。玉ねぎやネギなど他の野菜を入れてかき揚げにしても、コリアンダーなどを入れてアジアンなテイストにするなど、数限りなくアレンジが可。缶詰でも大丈夫ですが生のとうもろこしだと満足感が倍層。油の中で一粒だけ離れてしまうとはねるので、そこだけ注意しましょう。わたしはお醤油をつけていただきますけど、食べ方もいろいろありそうですね。

夏場にはズッキーニの天ぷらも美味しいもの。輪切りでもいいし、チーズ用のおろし金でおろしてぎゅーーーーっと水切りをしたズッキーニをフリッターにするものおすすめ。でもまだ夏は遠い。

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