「女なんだから」とか「何才だから」なんていう言い方をされるとムッとくる。個人差を無視したジェネライゼーションは不適切だと声を大にしていいたいけれど、自分と異なる人たちを型にはめると相対的に自分の存在がクリアになる。そういう意味で男と女というバイナリは都合がよいんだろうなぁ。
Man pointsという言葉がある。男の沽券とマッチョ指数を合わせたこのマン・ポインツの項目はいろいろだ。人によっていうことは違うけれど、DIYができる、車とか自転車のパンク修理ができる、ラジエーターがなおせるなどの実用技術から、喧嘩がつよい、自分よりでかいヤツを殴ったことがある、ビールのはや飲み、肉食系の大食い、車の運転が上手、スピード違反の数、火がおこせる、走るのがはやい、バーベキューが上手い、木登りが上手い、動物を解体できる、怪我をしててもスポーツの試合に出場する、おならやゲップが自在にできるみたいな馬鹿馬鹿しいのもあったりする。二十代前半のシングル君に訊いたみたら、すっごく高いレストランにデートに連れていった後に女の子から電話の一本もかかってこない(ふーむ、自虐ネタも入るのか)とか、チョー高いナイスな背広を買うこと(持ってなさそうだよね、キミ)なんていう答えもでてきた。
そして、マン・ポインツを下げる行為の筆頭は泣くこと。ダイエットコークなんていう返答もあった。コーラゼロはもっとわるいらしい。カロリーなんかにこだわるのは女々しいのだと。
だいたいこのマン・ポインツにこだわっているのは男たちだ。女が男に求めるものはそんな類型的なマッチョ度じゃなくって別のもの。そして、これに相当する女性版の名詞をわたしは知らない。女の子の大食いもいるけれど、大食い選手権に出場する猛者は大抵びっくりするくらい痩せている。どちらかというと、「これだけ食べてもアタシって太んないのよコンテスト」の色合いが強い気がするのは、メタボリズムが衰えているオバちゃん的ひがみだろうか。
数日前、高校生の息子が友だちのマン・ポインツ加算の応援部隊として出かけていった。メキシコ料理ブリートのチェーン店がやっているトリプルチャレンジ。ブリートを3つ繋げた特大サイズを完食するとTシャツがもらえるのだ。どれくらいの大きさかというのは次のYouTubeでご覧いただけるけれど、はじめの45秒だけで十分なので念のため。
小麦粉製のパンケーキみたいなトルティーヤの部分が胃の中でぶわーっと膨れそうである。息子はすでに数ヶ月前に完食記録を樹立してポイントを10点ぐらいあげている。チャレンジした5人の仲間内で全部食べられたのがひとりだけで、Tシャツをを着て帰宅したときのご満悦ぶりはすごかった。あんなに爽やかな笑顔ををみせたことなかったもんな。サッカーをやるときにもあのTシャツをナイキのシャツの上からわざわざ着ていたりするのは自己顕示か。2度目のチャレンジでもみな敗退し、今回はやっとひとり成功したとのこと。
このTシャツに書いてある「I’ve conquered」という台詞。どうも特別な響きをもつみたいだ。男たちの征服欲が世界史を塗り替えてきたことから明らかなように。あんなものが食えたぐらいで、女の子にもてなくても、試験の点数が悪くても、自我とプライドの目盛りがグイーンと上昇することにはクェスチョンマークが渦巻くけれど、まぁ単純で可愛いなとも思う。
この話を隣に住む85才のお婆さんにしたらDo they reward greed?と一蹴された。どん欲さと食べ物を無駄にすることへの戒めである。男と女の壁だけじゃなくて、世代間格差というものもあるのか。わたしたちは飽食の時代に生まれ育っているもんなぁ。それを息子に話したら顔は笑っていたけれど、目がこう言っていた。「わたしたち」なんていって自分と同じ世代扱いしないでくれって。
こんにちは
Man points、初めて聞く単語です
確かに、男性同士の中でのポイントみたいな項目ですね^^
男子は声高に『男子差別!』とか『女性と同じ権利を!』
なんて言わないから、そういう部分では男子の方が
社会的に優遇されてるって自分達も自覚してるのかなぁ
私は差別はダメだけど、区別は必要だとは思います
…って、そっちに話が行ってしまいましたが^^;
一流と言われるシェフや、日本では板前さんですかね
そういった方達って男性が多いですよねー
なんだか不思議な気持ちです
息子さんのご満悦ぶり、なんとも微笑ましいではないですかっ
女性版の名詞…大和撫子度でしょうか(笑
あ、今『ねじの回転』読んでます~
なんでしょう、このドキドキ感!!たまりません!
フォレさん
そうですね。女たちは女であることから自由であろうとしてきたのに、逆に男たちは自分たちの砦をキープしていたいっていうところがあるのかもしれません。まぁ男性軍のご意見を聞いてみなきゃなりませんけど。
おすすめした「ねじの回転」を読まれているんですね。この本はわたし何回も読み直しました。フォレさんってスゴい量の読書されてますよねー。
面白く拝読しました。女性はそんなものを求めてもいないし、男も女性を意識してマッチョぶりを発揮しているのでなく、ただ、ただ、自分だけでこだわっているものだとすると、男って本当にかわいいですね。
ここにもいました。でも、そのこだわりは、ちょっと不都合を巻き起こしていましたが。久しぶりに子連れでやってきた友人を囲んで植物園でピクニックを企画したら、「とんでもはっぷん。男が出る幕か。」と2人の子連れの細君への同行を拒否した、ラグビー選手の男、男の父君を。女々しいピクニックへの参加など沽券にかかわったのですね。細君は2人の動き回る子供の世話で大奮闘をしていました。
男のこだわり版に相当する、女性版、何でしょうね。
男性はそんなものを相手に求めてもいないし、女性は男性を意識しているのでもないのに、こだわって発揮しているもの。メーキャップ?香水?若返り?女は男に追いかけさせるものという思いこみ?なよなよ女は男が好きという誤った思い込み?
女性版に名詞は思いつきませんね。
釉子さん
男のこだわりは子どもっぽくて可愛いという風に太っ腹的にみることにしましょうかね。女もやっぱりガールズでいたい部分があるから。
でも男と女でいえば、お人形的かわいらしさが求められる日本にいなくてよかったかな、とも思います。もう女の子という年ではありませんけど。
おじゃまします♪
〝自分と異なる人たちを型にはめると相対的に自分の存在がクリアになる。〟
コレ、ホンマそうやわと思います^^;b
傍からみれば(特に女性から見れば)どうでもええもんやあほらしいことに
無我夢中になるのがオトコちゅう性物なんです ^^;
taketsuruさん
女にもどうでもええもんやあほらしいことに夢中になるところがあります。ま、似たものやら、反対やらいろんな人間がいるから、なんとかなってるんでしょうね、世の中。