ジーンズが最高に似合う男 ライアン・ゴズリング

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ジーンズほどアメリカンな衣服はない。
ゴールドラッシュ時代にリーバイス社のキャンバス地を使って鉱夫用の丈夫な作業着として発売されたズボンがファッションアイテムとなり、国境を越えて広がり、バブル時代にはデザイナージーンズなるものにも発展。スタイルもストレートから、ベルボトム、スキニー、フレアを経て再びスキニーが主流となり、社会、文化、経済の変遷を色濃く反映してきた。

わたしの中でいま一番ジーンズが似合う男がライアン・ゴズリングだ。ジーンズといえば白いTシャツで、それも、よれよれの白いTシャツとジーンズの組み合わせがめちゃくちゃ格好いい男はなかなかいない。

ライアン・ゴズリング主演、デレク・シアンフランス監督の『The Place Beyond the Pines』(邦題:プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命)を観た。アメリカという国が不思議だと思うのは、都市やカウンティがキャッチフレーズみたいな呼称を持っていることで、タイトルはニューヨーク州スケネクタディの別称。アメリカの地理と歴史によわいわたしはスケネクタディなんてしらなかった。どうも記憶に残りにくい名前だ。その後ろに「宿命」なんてあきれるほど時代がかった言葉をくっつけた配給会社の担当のセンスを疑う。ジェーンオースティンの『Sense and Sensibility』を『ある晴れた日に』にしちゃう日本なんだから、開き直って全然ちがうタイトルにするオプションはなかったのかしらん。

各地を点々としながら移動遊園地のスタントショーに出演するライダーのルーク(ライアン・ゴズリング)は、かつてつき合っていたロミーナ(エヴァ・メンデス)が自分の子どもを産み育てていることを知る。ライダーを辞め、その町にとどまり偶然知り合った自動車修理屋で働くことにするが、彼女には一緒に住んでいる男がいた。にもかかわらず父親として息子の養育費を稼いでよりをもどしたいルークは銀行強盗をやるようになる。彼を追う警官アヴェリー(ブラドリー・クーパー)がルークを追いつめるが、ある失態を犯すことをきっかけに警察内部の腐敗が明らかになっていき…15年後に二人の男の息子たちが同じハイスクールで知り合い父親たちの過去に向かい合うことになるのだが。

というあらすじと、銀行強盗の場面は全部通しで撮影していてスタントなしのロングショットが見どころであるということも知ってはいた。ライアン主演の『ブルーバレンタイン』と『ドライヴ』を足して2で割った映画じゃないのという想像のもと出かけていったのだが、一番興味があったのは、とってもアメリカンであること以外共通点のない二人の男優をどのように絡ませるのかということだった。

で、結果をいえば、ふたりはほとんど絡まないのだ。前半はルークの、後半はアヴェリーの、そしてその後はルークの息子ジェイソンの物語という風に展開する。ルークの前半は素晴らしくマグネティックな吸引力をもっている。ボロボロにTシャツに入れ墨だらけの鍛えられたボディ。森の中のシーンといい、登場の仕方といい、すべてがスタイルを強く意識して撮られている。教会の窓際に佇む横顔がライティングと点光源の8角形のボケと合わせて実に綺麗だった。彼の顔をよく見ると細長すぎでパーツが中心に寄り過ぎている感が否めない。でも端整で魅力的にみえるからハンサムの定義って何かと思わせる。立ち姿や顔のアップだけで観客からいろんな感情や想いを引きずり出して演じている男に映し出す数少ない俳優のひとりだ。また、エバ・メンデスの生々しい女っぷりが鮮やかに映画の深みを増す。

それがアヴェリーの部分になるとその魔法がするりととけてしまう。途中がっかりしたのだけれど、見終わってみると、それは別の男の別の人生としてわざと全く別の撮り方をしていて、それを息子たちの話に展開させ、ラストのシーンでするりとまとめようとしているのだな、というのがみえてくる。いいかえればなんともまとまり感のない映画であり、でもそういうアンバランスな構成をとることで浮かび上がたせたいものがあったのだということで、観た後の印象がすごく長引く映画だった。

クライムサスペンスという形をとっているけれど、これはアメリカの階級と父性の物語だ。そして運と不運の。女は生物学的に出産を通して母親になれる。でも男たちと父性のつながりについては答えはでない。

ブラドリー・クーパーも好演している。『ハングオーバー』のコメディイメージがあり、シリアスな演技もできるのよとアピールしたいんだろうけど、全体的にみてこれはライアンの引き立て役だろうなぁ。

ベストジーニスト賞なんてあるけれど、あれは単なる業界の広告塔で、ジーンズがなんたるかなんて考えちゃいない。ジュエリーが似合う賞みたいなのもおんなじ。本当に宝石が似合う女は、宝石の持つ怪しげな光を自分の中にとりこむことができるすごい女で、テレビなんかに出て自分の容姿を晒しちゃいない。で、ちなみによれよれの白いTシャツとジーンズ賞はライアン・ゴズリングだといったけれど、まっさらなTシャツとジーンズ賞はザック・エフロンにあげちゃうといったらわたしのミーハー度がバレてしまうだろうか。

この映画のイメージに合う写真を撮りためた中からさがしてみた。廃業したガソリンスタンドのポンプを撮ったもので、「WE ARE NO LONGER A WORKING GARAGE』という紙切れが差しこんである。でも背景がとってもイギリスのマーケットタウン風なのはしかたがないかな。いちおうこのフレーミングにしようと道路の真ん中から命がけで(笑)撮ったんだけど….
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6 コメント

  1. ジーンズ大好きです。
    1年のほとんどをジーンズで過ごしています。大切なプレゼンや広告賞などのオフィシャルなパーティ(じぶんが表彰されるとき)も、ジャケットにタイはしても、ジーンズのことがほとんどです。いちばん好きなジーンズは高価だからそう気軽には変えないけど、買ったときはとても幸せな気分になります。
    数年前病気で激やせして、それ以前のはほとんどぶかぶかになったときは悲しかった。
    ジーンズと同じくらいスニーカーが大好きです。

    • Asoboさん

      こんばんは。広告関係のクリエーターなんですね。ブログの内容が深くってクールなのはだからか、と納得です。うーん、わたしも1年中ジーンズと黒のニットという感じです。でも高価なジーンズはありません。そのうち足痩せをしてから、と思っているといつまでたっても買えないんです!
      激やせとお体はなおりましたか?お大事に!

  2. こんにちは^^
    ライアン・ゴズリングさんという俳優さんの事
    全然知りませんでしたよ~
    ジーンズが似合う…ワイルドって感じでしょうか
    私は…日本でEDWINのCMをしていた影響からですけど(笑
    ブラッド・ピットが思い浮かびますー!
    彼も、どちらかと言うとよれよれTシャツですね。

    洋画の放題!!!ですよね~直訳でもいい気もしますけど^^;
    『The Proposal』って原題の米国の映画があったんですが
    その邦題がすんごいです!『あなたは私の婿になる』でした><。
    コレを映画館の窓口で言わされた日には…(泣
    まぁ、映画の内容から言ったら納得なんですが。

    廃業スタンドの写真、絵になりますね
    日本の風景の中には無い空気です。
    私もまっすぐ伸びる線路を撮りたくて
    踏切内で命がけで撮ったことがございますよ(笑

  3. フォレさん

    ほほぅ、日本でブラピがコマーシャルですか。ガイジンセレブは自国にはわからないようにアジアの国で宣伝してがっぽり稼ぐみたいですよねー。しっかりしてます。

    『あなたは私の婿になる』には爆笑いたしました。こんどやってみましょうか、とほほな邦題チャンピオンシップ。これはベストテン入りまちがいないかも。

    ま、おたがいに妙なことで命を落とさないないようにがんばりましょう(笑)

  4. おじゃまします♪

    お命 かけたショット、報われすぎに素敵です ^。^v
    ブルーのジーンズ、30歳を期に止め、
    48の今、買おうか?などと思ってたんですが、
    やっぱ、しばし考えよっと ~。~;b
    シロT&ジーンズはスプリングスティーン
    と、浜田省吾が思い浮かびまする ^^;b

    • ジーンズにもコンバースにも年は関係ない(!)と決めました。そう、人様ではなくて自分が決める、これ大事です。
      シロT&ジーンズのイメージって人それぞれもっているものが違っていて面白いですね。時代と趣味の範囲と好みを反映していて。

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