お菓子の定番レシピにさようなら

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リビングルームの隅に積読本コーナーがあります。大きすぎて重すぎて本棚に入りきれない写真集と料理本が文字通り積み重なって埃を集めるスペース。それらをよっこいしょと抱えて掃除をしていたら、紙の重みがどーんと身に沁みて、何かがはじけた感がしました。

これってコンピューターと一緒。莫大な数の機能がついているのに、使う部分はほんのわずか。料理本も作ったことのあるレシピって氷山の一角。なんのかんのいいながらいつも同じレシピの繰り返し!!

定型サイズの料理本専用のキッチンの本棚もぎちぎち。昔は料理本もペーパーバック中心だったけれど、ミレニアムを迎えた頃から急激にグラフィックになり、写真の撮り方やPhotoshopの仕方とかタイポグラフィーに凝った本が増えました。本としての魅力は増したけれど重くてかさばります。最近はネット検索オンリーで料理本は買いません。とはいえクリスマスとか誕生日に本をもらうことがまだあるし。

これまでに一番おかず系を試したのは、ナイジェル・スレーターのレシピでしょう。オブザーバー紙とガーディアン紙のフードライターで、ガーディアンの読者であるため読む機会が多いことと、季節感のあるシンプルなレシピばかりだから。レシピというより暮らしの一部とという感覚ですね。

お菓子類で一番試したのはナイジェラ・ローソンのレシピ本。ゴージャスでハイソで幸せな奥様感を料理とお菓子を介して普及させている彼女は、料理本のタイトルのようにdomestic goddessになった気分にしてくれます。卵のサイズがLに統一されているのも便利。

両者もイギリスだけにとどまらず、他の英語圏や日本でも料理番組が放映されたりして知名度を高め、イギリス料理は不味いという看板を返上してくれているのはちょっとうれしいかも。

料理本の山の中で試したお菓子のリピート率トップ5をあげると…..

• ナイジェラ・ローソンのバナナブレッド(レシピはこちら→水くさい噺
• ジュリーズ・フレンチアップルケーキ(レシピはこちら→林檎と郷愁
• ナイジェル・スレイターのチョコレートブラウニー(レシピはこちら→グラストンベリー的チョコレートブラウニー
• ナイジェラ・ローソンのチョコレートプディング
• ナイジェラ・ローソンのレモンポレンタケーキ

世界中にあふれる膨大な情報の海から自分の好みとライフスタイルに合うレシピに出会えるのはとてもラッキーなことです。でも定番料理やお菓子ってある意味ではマンネリのもと。周りから評判がいいとますます便利に依存して気持ち的にあぐらをかいてしまう。特に仕事や家族や子育てその他いろいろなしがらみのなかで、気持ちの余裕が減りつつあるときはチャレンジ精神が萎え、同じものを作り、そして気分的マンネリの連鎖が続きます。

掃除機を片手に料理本の山を前にして立ち尽くしたわたしの胸にひとつの決意が芽生えました。これから3ヶ月は定番を封印して新しいレシピのみでやっていこう。ただしこのルールはお菓子のみ。毎日のお惣菜が新メニューばかりじゃあ身がもたないので。ちなみにわたしは週に1度はお菓子や焼きます。

ということで、定番を封印する前におなじみのレシピをふたつ作ったウィークエンド。でもこれってダイエットを明日から始めるから、今日は腹一杯食うぞって感じに近いような…..

ナイジェラ・ローソンのグーイーチョコレートプディング
何もないんだけれどちゃんとしたデザートを作りたいとか、ごはんを食べてしまった後にやっぱりデザートもしっかり食べたいときがあります。ふだん家にある材料をただ混ぜるだけで所要時間20分でできるくせに、非常に満足感が高いのが定番入りの理由。


材料(スフレ型4個分) 上質なチョコレート(細かく砕いたもの)125g/無塩バター 125g/砂糖 150g/薄力粉 35g (あればItalian 00)/卵Lサイズ 3個

チョコレートとバターを入れたボールを湯煎にかけて溶かす(電子レンジでもOK)
卵と砂糖と薄力粉を別のボールに入れよくかき混ぜる。それに溶かしたチョコとバターを混ぜ入れる。
バターを塗り、小麦粉をはたいておいたスフレ型に流し入れ、200℃のオーブンで10−12分焼く。焼き時間はあくまでも目安。スフレ型の厚さで火の通り加減が違うため。外側はしっかり焼けていて端はスフレ型からやや焼き縮んでいるけれど、中はグーイーな状態(でもナマじゃない)で取り出し、冷たい生クリームと一緒にハフハフいながらいただきます。

ナイジェラ・ローソンのレモンポレンタケーキ
レモンシロップをたっぷり含ませたレモンドリズルケーキといえばイギリスのお菓子のクラシック。別のいい方をすればおばあちゃんっぽくてありきたり。教会のバザーで100パーセントお目にかかります。それがポレンタを加えてイタリアンなアレンジが加わっただけでモダンでお洒落になるのは欧州大陸の食文化への憧憬でしょうか。手持ちの中で最も簡単なのに一目おかれるケーキ。しっとりしているのとポレンタの食感、そして酸味と甘さの加減がよく、デザートとしてだす場合、どんな料理にも相性がいいのもポイントです。ちなみにイギリスのスーパーではポレンタはパスタ売り場にあります。

材料(23cm 底が外れる丸型):無塩バター(室温にもどしたもの)200g/砂糖 200g/卵Lサイズ 3個/アーモンドパウダー 200g/ポレンタ 100g(わたしはインスタントのポレンタを使ってます。またはコーンミール)/ベーキングパウダー 小さじ1半/粉砂糖 125g/レモン2個

1) 23cm丸型のケーキ型の底にベーキングペーパーを敷き、サイドにバターを塗っておく。
2) バターと砂糖を白っぽくなるまで泡立て器で撹拌する
3) アーモンドパウダー、ポレンタ、ベーキングパウダーを合わせ混ぜておく
4) バターと砂糖に、粉類と卵1個ずつを交互にくわえてよく混ぜる
5) レモン2個の皮をおろしたものを加えてケーキ型に入れ、180℃のオーブンで35分から40分程度焼く。
6) レモン2個分のレモン汁と粉砂糖を小鍋にいれ砂糖が溶けるまで加熱する(溶けた状態でOK。煮詰める必要はありません)
7) オーブンから出したケーキに串で穴をあけ、レモンシロップをまわしかける。完璧に冷めてから型から出さないとくずれますのでご注意を。

 

12 コメント

  1. 週末の朝一番。きちんと届いて待っているサニー・サイダーさんからのブログを開けるワクワクの贅沢をいただけるようになって、もう約半年になりますね。
    今朝も1.1万マイルの距離を難なく超え、箱の中で待っていてくれました。
    それも、「ウワー、おいしそう!」なケーキの写真と。どうもありがとう。

    でも、文を読んで笑ってしまいました。
    家庭の実権保持者であるマミーが、前後の脈絡もなく、ある日ある時、ムラムラとあることを決意して、何かに挑戦を始めると、その影響をモロに受けること必定の、家族の顔、顔を想像したからです。この場合は向こう3ヶ月、今まで口にしたことのない、ケーキが次々とテーブルに登場するわけですね。家族は目を白黒? でも、ラッキー!

    ポレンタは、お皿の主品のつけ合わせのセイボリーしか作ったことがありませんでした。
    チョコレート・プディングは料理雑誌の表紙でカップをさかさまにし、その一角からドロリとチョコレートが流れでている写真を見て(全体にアイシング・シュガーがかかっていました)、
    「アッ、これ、いつか作ってみよう!」と思っていました。

    グーイチョコレート・プディング、レモン・ポレンタケーキ 
    いずれも私のレシピーに新登場、初顔です。作ります! どうもありがとう。

    • 釉子さん

      別に頼まれて書いているわけでもないのに、週に1度は更新しようと努力(?)はこのような温かいコメントで報われる気がします。ありがとうございます。

      まったくご指摘通りです。レモンポレンタケーキを食べていた彼は、当分このケーキは焼かない宣言に文字通り目を白黒させ、娘は自分はは今まで通りカップケーキを焼いていいのよねと、おたついていました。
      ポレンタはうちでは人気がない食材なんです。インスタントのマッシュポテトを連想させる刑務所のごはんでありそうで、violation of civil libertyのundertoneがするというティーンエージャーらしい難癖の付け方。

  2. Here I am writing my second comment in the evening before dinner followed by the first one in the morning. I am writing this sipping a glass of Australian red wine (Shiraz) .

    I entirely agree with Philip-san. What I admire the writer is that she has full of ideas and inspirations that is driving her to express. Without fuel inside yourself you will be a dead end.

  3. こんばんは^^
    私も数冊料理の本を持っています~本と言うより、雑誌ですけど
    本当に、美味しそうな料理が素敵なお皿と共に写真におさまってます!
    そして、私も!!ネットでついつい検索してしまって
    しかも『一番簡単で、材料の少ないもの』から選びます^^;
    食材から検索出来るのでいいんですよね~
    あ、因みに『クックパッド』です!御存知でしょうか^^

    イギリスの食事がまずいだなんてイメージ全然ないですよー
    ただ、料理というより、お菓子のイメージ強いですね!
    そして3ヶ月間はそのお菓子の新メニュー月間とな☆
    これは毎回のアップが楽しみです~(笑
    レモン・オレンジなどの柑橘系のお菓子を作った事、ないんです
    なんだか、失敗しそうな気がして…
    ポレンタ、初めて聞きました!!
    す…すごい…お粥のようですね~の、粉を混ぜるんですね^^

    • フォレさん

      本が売れない時代になりましたね。そして本を売るはAmazonの一人勝ち。
      Cookpadはわたしもよくみます。ほんと便利。
      でも分量が日本のレシピは少ないんです。うちが食べ過ぎなんでしょうか。18cmのケーキなんて一口で食べちゃう人間がいるうちなので……切り身さかなとか一人分がちいさい。フィッシュアンドチップスをたのむと草鞋みたいな魚がでてくる国に住んでるもんで。
      お菓子新メニュー宣言をしたものの、どうもお菓子作んない月間になりそうな気がしてきました😥 
      そうですね。ポレンタはイタリア版お粥みたいなもんですね。ほっておくと固まるのでスライスした焼いたりもできるんですけど。ケーキにしたときの質感が気に入ってます。

  4. ぼくのいちばん大切な料理の本は初版が20年前の
    『ミッシェル・ブラの世界』です。料理はもちろん食材が生まれた風土や四季などの写真のクオリティが時には感動的でもあります。
    ただ食材の名前や料理の専門用語にわからないことがとても多い。写真集として楽しむことはできるけど、料理のほんとしてはぼくにとっては宝の持ち腐れ。
    アマゾンで見るとぼくが持ってる初版本は15.000円だけど、いまは安いものでその2倍。時々柚子って欲しいという人もいるけど、写真だけでも心をいやされるので手放せません。
    いまぼくの持ってる本の中で、料理関係はいちばん多いかも。
    今のところに引っ越してきて、本はずいぶん整理したけど、まだ2000冊以上の本がぼくの部屋に陣取っています。
    本当は、シンプルにしたいけど、まだまだ時間がかかりそうです。

    • ミッシェル・ブラのホテル/レストランはほんとに行ってみたいですね。
      本として自分の手元に置いておくのはなんて贅沢なんでしょう。本に15,000円を出したっていうのは惚れ込んじゃったわけですね。2000冊の本はすごい。本って紙だけど、重いんです。相当の重量がかかっています。お家だいじょうびかな、なんて要らぬ心配をしてしまいそうです。asoboさんの本棚にはとっても興味があります。面白そうな本が沢山詰まっていそうだから。

  5. おじゃまします♪

    オーブンがないのでトースターでゴソゴソときどきやってます^^;
    限界があるし買おうか♪? と、
    ココに来ればステキなレシピあるし p。^b
    レモンポレンタケーキとやら食べたい\(~o~)/
    ワイン片手に眺めるんも十分ステキな読書やよ ^。^v
    ウヰスキー飲みながらへミングウェイのタイトルだけ見て
    内容思い出し考え込むのも読書としているワタシ ^^;

    • ーーウヰスキー飲みながらへミングウェイのタイトルだけ見て
      内容思い出し考え込むーー

      うーん、渋いなぁ。酒飲みの道楽のひとつでしょうか。ヘミングウェイといえば仏陀の遺骨が世界中にあるみたいに、ヘミングウェイ行きつけだったバーが山ほどあります。ベニスにハリーズバーというバーがあって、おのぼり観光客らしく行ってみました。そのバーの名物、ベリーニというカクテルは美味でしたが、えっらい高かったのを思い出しました。

      オーブンはあると、お菓子だけじゃなくてお料理観がかわりますよぉ。.カレーのようなシチュー、キャセロール類もオーブンで蓋をして焼くと、鍋で煮るのとでは出来上がりがちがいます。あのぉ、オーブンのセールスマンではありませんけど…..

  6. 美味しそうなデザートですね~
    家にもオーブンはありますが、子供ボーイフレンドにクッキーを上げるときくらいしか使っていません。この写真を見て、真似して見たくなりました。

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