コーヒー1杯分の重み

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映画のストリーミングサービスはいくつもあるけれど、セレクションが興味深いのでMUBI (http://mubi.com/watch)に加入した。常時30本の映画があって、毎日更新。つまり1本の映画が30日間有効で、何本でも観ることができる。(これはUK用です)たまたま開いてみたらロマン・ポランスキーのアイコニックな処女作「水の中のナイフ」が目にとまり、何年かぶりに観たい衝動にかれられて一週間のお試し期間にサインアップ。そのうちもっと観るさという欲張りな消費者意識に後押しされてそのまま本契約。よくできている。

その値段が1ヶ月£2.99。気に入っているコーヒーショップのカプチーノまたはラテ一杯£2.85とほぼ同じ。
コーヒー一杯分の値段で映画が観放題というのは安いんだろうなぁ。Wikipediaを含めてコーヒー一杯分の寄付を募る団体は多い。モノはよく金銭的価値に置き換えられ、そして、その価値がまたモノの価値を計る尺度として用いられ、その最たるものが一杯のコーヒー。

そのコーヒーの価値が希薄化している一因が、近所のスーパーがやっている無料コーヒーサービス。My Waitroseカード(入会無料)の所持者は店内のカフェでドリンクが無料になるというもの。そもそもの問題点は会社の近くのカフェのコーヒーが薄いことで、それよりちょっとだけましというネガティブな理由でWaitroseのカフェでたまに買っていた。そしたら買い物をするごとにスキャンして消費者情報を筒抜けにして、その見返りにコーヒーと新聞がもらえ、たまにわずかな割引がきくシステムが導入された。

美味くもない無料コーヒーを、コーヒーを飲んでくつろいでいる、という幻影のために飲んでいる毎日。ぼんやりした味の茶色い液体とともに日々が薄まっていく。

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価値を計る尺度を昔は持っていた。小学生の頃はチロルチョコ何個分にはじまって、サンリオのレターセット、ポプラ社出版の江戸川乱歩少年探偵シリーズ何冊分、月間マーガレット何冊分。それから宝塚の立ち見券、栄屋のケーキセット、駅の食堂街のお好み焼きミックス1枚分、フィルム何本分、レンズ1本分、ライカMシリーズの何分の1。ニュージーランドのマールボロ産ソーヴィニョン何本分、veuve clicquot何本分、ニコル・ファーリのニットの何着分を経て、紙おむつ何パック分なんていう時代もあった。物欲ってわるいもんじゃない。ある意味で、前向き志向の裏返しだし、自分の生き方へのコミットメントでもあるから。価値の数値化の基準となる自分にとって大切なもの。それが昨今失われているのに気づいた。強烈に関わっているものがあって、それを価値判断の要(かなめ)にできるっていうのは幸いだ。

とりあえず美味いコーヒーを飲みにいこうかな。明日。

ちなみに上の写真はわたしが住んでいる街1番のコーヒーショップです。

(20th October おまけ)
コメントをくださったbotapotaさんへ。わたしの手元に1冊あります。昭和45年第1刷の本で、昭和59年第25刷、定価600円です。

14 コメント

  1. 久しぶりに、この記事が購読ブログに上がっていて嬉しくなりました♪

    お気に入りにコーヒーショップで、美味しくて優雅なコーヒータイムを味わえていますように。

    • そうなんです。3ヶ月ほど購読ブログに上がらなくなってしまって、フォーラムにも問い合わせたんですが、だめでした。テーマの不具合の調整(コメント欄がグレーで読みにくかった)と共に解消されたみたいです。タグを全部張り替えたせいかなぁ。よくわかりませんが、とにかく、ほっという感じです。

  2. 懐かしいです…ポプラ社の少年探偵団シリーズ!(←ここに反応してしまいました・汗)
    幼馴染と競って読み漁りました。
    表紙のイラストが印象的でそれを見ただけでゾクゾクわくわく。
    ただ、貨幣価値の尺度として使ったことはなかったかも…。
    もう少し小さな「仮面ライダースナック」とか「プロ野球スナック」とかだったかな…
    もちろん付録のカード目当てです(笑)

    美味しいコーヒーはほんとに幸せな気分にさせてくれますね。
    お気に入りのカフェが近所にあったらどんなにか日常が豊かになるか。
    現状、お店では煙草のニオイが感じられたら厳しいので、なかなか難しい。
    結局、自分の家で淹れるものが一番となってしまうのです。

    今日は日曜出勤。飲んでるコーヒーはセブンイレブンのドリップコーヒーです(泣)

    • 日曜出勤おつかれさまです。セブンイレブンのコーヒーでも、すこしはほっとできることを祈ります。特別サービスで、ブログ記事におまけをつけました!ご高覧いただければうれしいです。

      • おおおお!お持ちなのですね!すごい、そうそう裏表紙は小林少年のこの絵でした。夢中になって一日で読み終わっていたような。特別サービス!ありがとうございます、よいもの拝見させていただきました。また明日から仕事がんばれそうです(笑)

  3. 1杯のおいしいコーヒーのお話ですね。うれしい。現在、試飲のためのシドニーのCafeめぐり中なのです。SMH(シドニー・モーニング・ヘラルド紙)が「Good Cafe ガイド」という本を出したのが数ヶ月前。3つ星がトップですが、そのランク入りに成功したCafeはシドニー首都圏に13軒。現在までに踏破したのは半分弱の6軒。飛び切りおいしいかったのが1軒。アレアレ!査定をされたときのバリスタが、その日は不在だったのかしら「何、コレ!」もありました。中間層の割と上位店が近所だったので、そこへは、最近、よく足を運ぶようになりました。ガイドが出るまではそのCafeの存在に気がつかなかったのですね。トップ連のインテリアは総じて気取っていない倉庫改造風の作りです。その場でコーヒー豆の焙煎もするので店内に香りが満ちていて良い雰囲気です。1杯の値段?豪ドル$3.50ですね。

    • シティとくればカフェ文化は切り離せませんよね。シドニーは適度にまとまり感があっていいなと思います。倉庫改造風の建物は、港湾都市にぴったりですよね。
      上に挙げた写真の場所は、16世紀の宿屋兼パブのコートヤードにあるコーチハウス(馬屋)を改造した建物なので、ひょろ長い穴蔵風です。秋冬はいい感じなんですが、夏は暑い!オーナーはAussieのいい男です。

  4. 購読ブログにあがっていなかったのですね〜。
    経験者です。笑
    ある日突然みなさまから音沙汰がなくなり、孤独な独り言を綴っていました。
    それがある日突然復帰しました。原因はさっぱり分かりませんがたまにそういうことが起こるみたいですね。
    孤独ブログも慣れてくると一人ボケ、一人突っ込みみたいなものにちょっと愉快な気分にもなりましたがまたみなさまからいいねをもらえるようになって、やはり一人ぼっちは淋しいなと。。

    クールでかっこいい文章(?笑)のsunnysiderさんの記事を楽しみにしております♪

    あ、私もコーヒーは好きですが味とかまったくこだわりはありません。(というより味音痴…)
    ただお店の雰囲気、一人の空間がほどよく確保されているところが好きですね〜。どちらかというとカフェより昔の喫茶店風な感じですかね。

    • あはは、せめてバーチャルな世界でくらいクールかっこよくありたいもんです。
      harubocchanさん、日本はいま朝の4時ですよー。時間を有効に使っているんですね。夜更かしなのか早起きなのかわかんない時間です。

      フォーラムでharubocchanのスレみつけました。トラブルはあたしだけじゃないって勇気づけられました(笑)でもわたしのは長かったです。3ヶ月。

      喫茶店って懐かしい言葉です。かっこつけなくてお洒落すぎない個人空間。いいですよね。長居をすると、昆布茶がでてくる喫茶店を思い出しました。サービスであり、もう帰りなさいよ、って意味なんですが。白髪のオーナーご夫婦まだやっているらしい。

      • フォーラム読みました?
        どうもwordpress側が修正したのではないみたいなので、原因が分からないんですよね。
        なので今もちょっとひやひやしてます。

        昆布茶の喫茶店、行ってみたいですね〜。うちの街は古い喫茶店がまだちょいちょい残っているからもしかしたらあるかも。発見したらご連絡いたしますね♪

        今朝は早朝仕事です〜(涙)
        でもたいてい4時には起きてます。これからジョギング行ってきます!…朝しか活動的でないので夕方ほぼ死んでますが。

  5. こんばんはー^^
    何かの価値を何かに変えて考える事って
    良く有りますか?
    私はもちろん、あるんですけど
    それを考えてる自分がなんだかもの凄く『けちんぼ』な気がして(笑
    それはさておき、コーヒー1杯分で映画が一月観放題というのは
    凄く魅力的ですね!!sunnysiderさん好みの映画ばかりなのでしょうか?
    結構ディープな作品揃えな気がしてなりませんよ(笑

    基本薄めのコーヒーは好きなのですが
    飲んだ時に香りのしないものちょっと哀しいです
    こだわる程、通では無いのですがグアテマラが好きかな^^

    私もこの夏、初めて江戸川乱歩さんの傑作集を読んだんですよ
    二銭銅貨とか人間椅子、芋虫なんですが…
    まぁ、真夏に読むものではないですな(汗

    • フォレさん

      こんばんばんじー。(どうもくまさんののりにはかなわない)
      そうなんです、ディーブな品揃えに惹かれて加入したものの、ゆっくり観る時間がないんです。日本語だというのに惹かれて村上龍原作のオーディションを観たら、あまりの恐怖に卒倒しかけて消しました。観ない方がいいです。こういうホラーものは。原作の何倍もおそろしい。

      コーヒーって正直言ってわたしもどこまで味がわかっているのかわかりません(ワインといっしょ)。でも、コーヒーカルチャーっていうのかな、そういうコーヒーにまつわる食文化、価値観が好きなんです。

      夏に読みたい本は沢山あったんですが、夏休みに読みたい本なんですよ、そういうのは。うだるような暑さと、ありあまる時間というコンビネーションが必須なんです。でも暑くもないし、自分の時間なんてちょっとしかない勤労主婦には夏の読書はイメージだけの絵に描いた餅です、哀しいことに。

  6. お久しぶりです!しばらく更新されていなかったので、お忙しいのかなーと思っていました。フォローに反映されていなかったのですね。Feedly(Google Reader みたいなの)に記録したので、Wordpresで反映されなくても、もう大丈夫♪
    江戸川乱歩の本は小学校の時に片っぱしから読んだのですが、表紙が「こわーい」雰囲気なものも多くて「良くない本」(PG13みたいなネ)っぽくて、図書館からこっそり借りたりしていました(笑)鉄人Q… 懐かしすぎるぅ〜。

    • 図書館からこっそりですか。うふふ。小学生時代は、秘密という言葉にすっごく反応していましたねー。年を取るにつれwhite lieが増え、秘密の価値が下がってるのを自覚させられました。hey girl に引き続きfeedlyもご紹介いただき感謝です。自分のブログをえライアンだらけにして喜んでいます:-)

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