クリスマスツリーはジンセイの縮図です

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クリスマスツリーを買いにいくたびにいつも同じ想いに囚われる。たかだか背丈よりちょっと高い程度の生木を一本を選び代金を払うだけどのことにジンセイを透かしみる人間ってあんまりいないだろうけど。

買いにいくのは12月の2週目くらいの土曜日。ツリーを買いに行くぞぉっと相方と娘とわたしの3人で車に乗りこむ。丘の湿った緑や葉を落とした灌木の並びと冬色の曇り空が車の窓を流れていった果てに到着するのが、マナーハウスの横っちょについた納屋風倉庫で、何百本というツリーたちが樹木チップが敷かれたヤードに延々と立てかけたれていている。値段と樹木別に大中小と分けられいて、湿った地面を長靴で歩き回って夥しい数の木から、一本だけを選ぶという作業は意外と容易ではない。

自然が造詣したものだから,枝葉のつき方、幹の太さや曲がり具合などひとつひとつ違っている。高さはいいけれど、中程の葉つきが悪いとか、幹のてっぺんが分かれているとか、全体の格好がいまひとつなど。ちょっと離れてみないと全体のバランスはわからない。ガーデン用手袋の持参は必須。手に針みたいな葉が刺さっていたい。

photo生きていくということは、選び続けるということ。多くの選択肢の中から、正しい学校とか仕事とか仲間や恋人や配偶者や生命保険や投資やバーゲンセール品やスーパーのお惣菜などあらゆるものを、選び取っていかなきゃならない。選択の果てしない連続。選ばないことには日々暮らしていけない。そしてやっちゃあいかんことが、選んだ後からあっちの方がよかったかもと思うこと。でもそう思っちゃうんだよなぁ。この木にしようと決めてネットをかけてもらったら、横の人がもってるツリーの方がでかい気がする。レジでお金を払っているときに、前の人のよりうちの方が背が高いなどとニンマリしたりもする。

3人でいくというのは、バックシートを倒さないといけないので、自家用車のシートのタイプから定員3名様であることと、パワーポリテッィクス的理由から。必ず意見が分かれるから多数決にするには3人に限る。家族内のダイナミクスというのは各家庭ごとに違うだろうけど。

こんなことを考えながらふと見上げると、重たい木を肩に担いで車へ向かう相方の後ろ姿がやけにたくましくみえる。男女平等だとはいうけれど、平等と同質はちがう。やっぱり彼らのガタイはでかい。そして娘にむかってこういうのです。生活の中にオトコがいてよかったわ、と。

車の中は3週間程度いっしょに暮らすことになったノルドマンの芳しい匂いとともに、田舎の冷たい空気を吸った後特有のゆるい脱力感と高揚感で満たされる。

で、家に居る若い方のオトコさんは新年になるまで出番はない。ツリーの解体作業係なので。電気ノコとよばれる玩具で枝を落とし、乾燥した枝は暖炉に放りこまれ年が明けても、針葉樹の香りを炎の中から立ち上げてくれる。

毎年同じことをやって、同じことを想い、そして忘れる。はい、これもジンセイです。

8 コメント

  1. 同じクリスマスでも日本とは違う質のもの。
    あなたの深い洞察に安心感とともにうれしさを受け取りました。
    素敵な週末を~

  2. 日曜の朝からほっこりさせてもらいました。ありがとうございます♪ やはり家族のお話はいつもとちょっとちがう柔らかな感じがします。生木のクリスマスツリー、いつかやろうと思っているのですが未だ体験していません。そうか、木の香りがすごいのですね!気持よいでしょうね〜。以前の仕事の関係で正月開けにニューヨークに出張することが数年続いたことがあり、マンハッタンのあちこちにクリスマスツリーが捨てられているのを見て、これがアメリカのクリスマスか!と衝撃を受けたことを思い出しました。

    • 年が明けたらクリスマスツリーの墓場みたいなリサイクル場にもっていけばいいんですけど、とにかく移動させると乾燥してしまった針みたいな葉がバラバラと落ちてすごいんです。で、うちは薪に再利用しています。夏に浜辺に行った後、砂があれっと思うようなところからでてくることがありますよね。それとおなじで針の葉っぱが発見されます。ニューヨーク出張はありならロンドン出張はないんですか?

      • 海外出張があったのは前職・・・いや前々職でアメリカのみでした。英国は未踏の地であります(笑) 季節外れの砂や、針の葉っぱ、それはそれで趣がありますね~。

  3. こんにちは、
    毎年ツリーを新調されるんですか?
    ほほーやっぱりたんにお祭りにしてる
    こちらとは違いますね。。
    木の湿った香りが思わず私の鼻孔にまで届きましたよ^^
    そして飾りつけは女性のお仕事でしょうか♪

    • マイケルブーブレとかビングクロスビーとかポーグスなどの、こってこてのクリスマスソングを大音響でかけて、飾り付けるのは娘とわたしの仕事でーす。
      この時期ラジオをつけるとポップの局でもクリスマスソングばっかりで、もう脳みそが赤と緑化してますな。

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