2014年に観た印象に残る映画9本

10

1年を振り返るにはいろんな物差しがあるけれど、どんな本を読んだか、映画を観たかは、自分の中ではその1年を結構物語ります。新作を頑張って観た年や、昔観た映画をまとめて観た時期、あんまり観なかった期間、それらはそのときの自分のあり方のような。そこで、印象に残った映画2014について考えてみました。2014年封切り映画のベストではなくて、わたしが今年観た映画の覚え書き、かな。順不同です。

HER/世界でひとつの彼女(2013) 監督Spike Jonze
「Being John Malkovich」のプロットには本当に手を叩いて握手喝采してしまったSpike Jonzeの新作。コンピュータのOSに惚れてしまう男の話で、これがまたプロットが上手い。フォトグラファーである監督だけあってヴィジュアルがまた新鮮で美しい。主演ホアキン・フェニックスのなんとも味のある顔。顔のドアップだけで演技ができる数すくない俳優でしょう。そしてOSの声のみ出演のスカーレット・ヨハンソン。著しくイメージをふくらませる魅惑的な声と喋り。脇役のエイミー・アダムスもよい味を出している。観てよかったぁ。

グランド・ブダペスト・ホテル(2013) 監督Wes Anderson
これに関してはこちらの記事でしっかり書いちゃったので、ここでは触れません。でもやっぱり今年観た映画の中で最も好きだった映画のひとつ。Wes Andersonは大好きな監督なので、はやく次を出してくれないかな。

アンダー・ザ・スキン(2013) Jonathan Glazer
映像作家が作った独自の世界で、身も蓋もない表面的ないい方をすればエイリアン(スカーレット・ヨハンソン)がスコットランドの街とハイランドを徘徊して男を食う話。メタフォリカルかつフィロソフィカルで自分的にはうわーーっと入り込んじゃった映画で、これについては長い長い深刻な記事をそのうち書きたいと思っていますが、いつになるかな。

パリ、テキサス (1984)監督 Wim Wenders
大昔に映画館で観たのを憶えています。なぜこの映画のDVDを再度観ることになった経緯は思えていないのだけれど、これはall time favourite。古びていない、タイムレスな名作。ナスターシャ・キンスキーの早朝の薔薇の花のようなこぼれる美しさに、ひとつひとつのカットが素晴らしく計算された絵、ライクーダーのスライドギターがまためちゃめちゃ格好いい。自分はちょっとは大人になってよりよく鑑賞できるようになったじゃないの、と漫然と過ぎ去った歳月にいささかの価値を見いだすは映画でした。わーわーと能書きを垂れていたので、クリスマスプレゼントにDVDをもらいました。

We need to talk about Kevin (少年は残酷な弓を射る)(2011) Lynne Ramsey
周りの人たちから不評であったので、みそこねてしまったけれどある週末の夜軽い気持ちでオンラインで観てしまった映画。非常にdisturbingな作品ではあるけれど、すごい完成度で観終わって思わずうぉーっと唸ってしまいました。ジャンルでいえばスリラーなんでしょうね。母親をやっているすべての女性にとっての究極の悪夢である事件のストーリー。血の色である赤が非常に上手く使われていて、フラッシュバックでストーリーを展開する手法がとても有効。ティルダス・ウィントンはほんとうに凄いクオリティを持った女優です。ラストの恐ろしい微笑みが何のかんのいいながら彼女はすごい母であると物語る。そして彼女に対抗できるエズラ・ミラーもすごい。でもこれは好き嫌いに分かれる映画。たぶん一般人口の90パーセントが嫌い?

Happy Together /ブエノスアイレス(1997) 監督Wong Kar Wai
ウォン・カーウァイ大好きです。「恋する惑星」でおぼこい顔の金城武にも再会できたし。で、この映画はトニー・レオンとレスリー・チャンという香港映画界のスター対決ってとこでしょうか。ゲイの恋愛映画、と必ずゲイ部分が強調されてしまうけれど、これこそ”恋愛”と拳を握りしめる作品。

浮き草(1959) 小津安二郎
これも観終わるとうわーっ、なんか書きたいという衝動にかられて記事(小津安二郎「浮草」の縦糸と横糸)を書いちゃったのでここではパスにしておきます

アメリカン・ハッスル (2013) 監督David O Russell
詐欺師の男女の話。これはあの可憐なエイミー・アダムスがオンナオンナした女の匂いむんむんの悪女を演じているので印象に残った映画。クリスチャン・ベイルの腹にたっぷり脂肪のついた脂ぎったおっさんぶりもいい。そしてこの二人が惹き付け合う男と女。男の妻であるジェニファー・ローレンスの女っぷりがまたすごい。

SURVIVE STYLE5+ (2004) 監督 関口現
昨今多くの映画がオンラインで無料で観れるけれど、観れないものをカバーするために郵便でくるDVDレンタルサービスの会員になっている。リストの中からストックがあるものが送られてくるのだけれど、候補作品のリストをアップデートしていないと、いつどうやってリストに追加したのか憶えていない映画が送られてくることもある。この映画がそれ。たぶんオダギリジョーと共演していた浅野忠信を検索してクリックしちゃたんだろう。ウィークデーの夜に「日本語の映画だよ、どんなんかわからんけど」と声をかけて親子で観たらツボにはまりすぎてぶっ飛びました。

5つの独立した話が実はつながっている、というパターン。とにかく間の取り方が圧倒的に上手いと唸っていたら、監督さんはCM作っている人した。納得。こういう映像が映画になりうるのよね、とますます頷く。妻を殺した男(浅野忠信)のところへ殺しても殺してももどってくる恐怖の妻、これは究極の夫婦だよなぁ。長年夫婦やってる人にはこの感覚わかるよなぁ。催眠術から抜け出せなくなって鳩になった父(岸部一徳)と息子の会話にほぉと拳を叩き、最後のオチにやったねぇと救われました。
ま、これも好みの問題の映画です。少数の人にすっごくアピールするものがあるでしょう。

書き出すときりがないけれど、こうやって能天気に映画を観て暮らせのは非常にありがたいことです。今年は肩の骨を折りましたがなんとか元通りに近い生活になりました。来年はどんな映画をみる年になることやら。下の写真の雰囲気で飲みながらの記事ですが、皆様、よいお年をお迎えください。新しい年も自分の糧となる映画や本とのタイムリーな出逢いがありますように。

 

10 コメント

  1. あけましておめでとうございます!今年もどうぞよろしくお願いいたします。肩の具合はいかがですか?パリ、テキサス、30年前の作品ですか…それは違ったところを感じることでしょう、ぼくも試してみます!

    • botapotaさん
      去年は起業という大イベントの年でしたね。おたくのようなブックショップ&カフェが近くにあるとわたしのQOLは500倍ぐらい向上するはずなんです。お身体に気をつけてどんどん素敵な本を世の中に循環させてください。金も人も情報もモノも世の中で回っていくもので、それを生業にできるのは素晴らしいことですよね。
      こちらこそ今年もどうぞよろしくお願いします。

      肩はずーーーと痛いリハビリ継続中です。

  2. 参考になります♪
    以前記事を読ませていただき気になっていた「グランド・ブダペスト・ホテル」。
    改めてまた観たい!と思いました〜。
    sunnysiderさんのコメントの切り口がすごく好きです。
    引き続き、本年もよろしくお願いいたします!

    • あけましておめでとうございます。思ったことを聞いてくれる人がいないので(相方も子供達も聞く耳もたんってかんじです、とほほ)井戸の穴に向かって吠えてるようなブログですけど、訪問くださってありがとうございます。
      今年もharubocchanさんのクリエィティビティに十分インスパイアされたいな、と思っています。よろしくお願いしますね。

  3. sunnysiderさん、Happy New Year!
    映画リスト、嬉しいです。休みに入ってから色々と見ているのですが、心温まる映画(後味の良い映画)って本当に少ないなぁ〜って思います。「Hundred Foot Journey」は見ましたか? 最近見た中ではほんわかした気持ちになれた一本でした。あと、The Congressもコンセプトが面白くて楽しかったです。
    sunnysiderさんのおすすめ本や書評、大好きです。スッキリとした文章・文調も好きです。また今年も楽しませてくださいね☆
    ↑↑肩の調子、まだリハビリ中とのこと、早く痛みがとれますように。
    sunnysiderさんとご家族にとって、健やかで満たされた一年となりますように!

    p.s. instagram、フォローしてくださったのはSunny_siderさんですか? わーい!と盛り上がってしまいました♪

    • 以前におすすめいただいたSally Potterのタンゴの映画はツボにはまりましたよ!
      ほんわかしたい気分なのでぜひ「Hundred Foot Journey」いってみます!
      Papricaさんのようにきっちりマメでいい人だなぁと思うブロガーになりたいとは思っているんですが、もともと三日ぼうずの人間ですから、細々とながら続いているのはわたしにとっては偉業です。
      今年もたくさんハッピーな記事をお願いします!Best wishes to you all for 2015!

      Flickrの更新も全くやっていないのに、今更ねぇ、という感じなんですがInstagramも開店しました。よろしく。

  4. お正月3が日以内だから、まだ、間に合いますね (いいわけ!)。
    あけましておめでとうございます。佳いお年をお迎えのことと思います。
    ご存知、こちらの元旦、身も心も引き締まらない、あっけらかんの新年入りです。

    今回のブログ、映画でふりかえる1年の自分ですね。

    わたしが、昨年、気に入った映画は「Still Life」 と 山本兼一原作の「利休に訊ねよ」でした。前者は心あたたまる、後者はきれ~いな映画でした。
    アッ、そうそう、つい最近の年末にみたのがイザベラ・ヒュパート主演の仏映画Folies Bergere。彼女は自然派でいつみてもお気に入りですが、男優たちがいまいち。

    私って、お気に入りの俳優で見る映画を決める傾向がありそうですね。浅野忠信はお気に入りです。だから、Survives Stylesは、今すぐにでも見たいです。サニーサイダーさんにかかると、拍手喝采したり、ツボにはまりすぎてぶっとんだりでの映画評で、どの映画も全部、今すぐに見たくなって、腰をうかしてしまっていますね。

    今年も刺激の発信源サニサイダーさんのお便りを楽しみにしています。

    • 明けましておめでとうございます。こちらこそよろしくお願いいたします。コメントいただいていたの気づいていませんでした。
      明るい真夏のクリスマスいいなぁと思います。

      ゆうこさんからのオススメありがとうございます。利休は観たいなと思っていたのです。浅野ファンなのですね。俳優は作品を選ぶから好きな俳優を追って映画をみればアタリですよね。浅野、オダギリジョー共演のあかるいみらいはごらんになりましたか。ちょっと古い作品ですが。

      本も映画も好みの問題デ、好き嫌いが激しい分、好き好きツボはまりも強烈なもので、日記にとどめておけば良いものをこんな所に書き散らしているものをご高覧いただき恐縮です。

  5. Happy New Year!!
    『パリ、テキサス』大好きな映画でございます。
    なんてったってライ・クーダーのスライドギターがたまりません。
    風景に寄りそう音でございます。そしてなりよりも、
    この頃のナスターシャ・キンスキーはほんと美しいですね~、メロメロですよ。
    『今のままでいて』の頃の彼女も、とってもキュートだったけれど。

    最近はスカーレット・ヨハンソンがお気に入りです、
    エイリアンとかサイボーグじゃない役がよいけどなあ。

    昨年、ケーブルで『ゴッドファーザー』シリーズを一挙放送してたんですが、
    やはり『ゴッドファーザー』は面白いなあ、と改めて感じたりしておりました。

    というわけで、今年もsunnysiderさんのアップを楽しみにしております。
    笑顔あふれる年になりますように。

    • コメント入っているnotice入っていなかったのはなんでかな。
      Happy new year to youです。
      ライ・クーダーが風景に寄りそう音というのは実にぴったりの言い回し。座布団3枚!あのギターなしでは映画の評価はかなり落ちますよね。
      lost in translationのころはあんまり好きじゃなかったんですが、ここんところのスカーレットいいです〜。
      ゴッドファーザーの大人の映画のですからね。クマさんも渋い大人になったってことかな。粋な大人のいくバーやレストランのブログ記事も楽しみにしています。今年もよろしくお願いします。

コメント欄