こじらせ女子はデパート1階フレグランスカウンターへ行くべし

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先週の日曜日、ふらふらと街へ出で何気にデパートへ足を運びました。入り口付近はお決まりのパフュームの香りでいっぱい。いつもは通り過ぎてしまうフレグランスの森に長居して思ったこと。

わたしはフェミニンという感覚からベクトルの方向が反対を向いている人間です。土日はほとんどシンプルな黒のトップにスキニージーンズ。フリルや花柄は苦手。八方美人的笑顔は振りまけない。

にもかかわらず、いつもは蓋をしている女であるという意識が重厚な香りに刺激され、売り場を歩く自分の足さばきが何やら違うんです。これは花屋をのぞくときと同じ。フェミニンな幸福感とでもいうのでしょうか。花屋より強烈なのは、高級感ただよう人工的な空気のせいでしょう。

モノはなんでも原価と売値が驚くほど違います。この香水たちにすればそのギャップは他の業界の比ではないはず。イリュージョンを作り上げ、イメージという付加価値がより強く女的幸福感を押し高めているのですが、肺とアタマがアロマで満たされると、そんな理屈っぽい考えもふわふわと消えていきます。

香水売り場なんてもう長いこと素通りを続けてきたと思いながら、売り場の棚を眺めてみると懐かしい顔の数々。Calvin klein のEternity 90年代の香り。当時いい女を演出したい仕事にがんばる女から立ち上っていました。いまや名前すら思い出せない元同僚の髪のウェーブや話すときのアクセントやまつげのカール具合といった強烈に記憶が蘇ったのです。すっと忘れたままだった人のことをここまでリアルに思い出すなんて嗅覚のパワーはすごい。バラのエッセンスが丸っこい瓶につまっているYve Saint Laurent Paris。これくれた人はいまどうしているのだろう。でも過去にぎゅーんとひっぱられる感じがしないのは自分が変わったからかな。 母の鏡台にあったChanel No.5 やGuelanのMitsuko、Jean Patou のJoy 、ストライプの容器のRive Gauche。大人になったらこんなクラシックで大人の女の香りが似合う女に自動的になる思っていました。それが大人を通り越した年になったにもかかわらず、「大人の女」なんて程遠い。

フレグランスの年譜の中でいまの自分はどこにあるのか?Lost in translation ならぬ Lost in fragrance. Issey MiyakeのL’Eau D’Isseyをシグニチャーにしていた時期があったけれど、自分を型にはめていたなぁと気づいたのです。

こんな香りが好きだったらいいなと思うけれどそうでない自分。人にあっても自分の肌や体質には合わなければ仕方がないですね。周りの人も嗅ぐものだから周囲とのバランスも考慮する必要あり。そして時代性との折り合い。フレグランス探しは、嗅覚というふだん意識しない脳の一部に焦点をあてた自意識の旅

  • 好きな香りはなにか
  • それが自分に似合うのか
  • こうありたい自分と現実の自分のギャップ(好きな香りと似合う香りのギャップ)
  • つけたい香りと自分の肌の相性

そんなことを頭の中でぐるぐるしていたら、自分に嵌めていた枠がはずれて、グルマン系の砂糖菓子みたいなスィートな香りが好きであることに気づき愕然。本当の自分はこういう可愛い女でありたかったのか???

タイムレスでクラッシーといわれるフレグランスは本当にクラッシーでお上品なひと、または若い世代がつけるとほう、本物志向ね、ということになりますが、中途半端だとただの時代遅れ。柑橘系は自分の肌じゃオジさんっぽく香ってしまう。万人ウケするフローラルは自分の殻がかたい(と思っている)自分じゃないかなぁ、しかし決つけは禁物。

いま流行りで誰もがつけているLancomeのLa Vie Est BelleとかVictor& Rolf Flowerbombなどは人とかぶる確立が高そう。職場で隣の席の子はMark JacobsのDaisy。まぁそんな可憐な香りは20代の可愛いブロンドの彼女にはぴったり。また仕切り屋のドンのおばちゃんはChanelのCoco Mademoiselleだから絶対避けるべし。

でもフローラル系が好きで、砂糖っぽくないスィートなバニラが意外にも好き。モダンでクラシックな香り。まぁ、そこまでくれば自分の掘り下げに成功した同じでしょうか。それにマッチするフレグランスを探すのは長い道のりになるにしても。

もともとふらりとでかけたのは、今日は生活からかけ離れてみようと思ったから。3月15日は欧州では母の日でした。今日は自分の時間をもったらという娘のアドバイスに従い、生活感のない女の園に紛れ込んでしまったのです。母になってしまっていてもこじらせ女子の延長上。

フレグランスを道楽としている女たちは、以外と健康的に自分の中の女と上手く折り合いをつけているんだと思うんです。いいかえると自身のアイデンティーがけっこう明確っていうこと。香水という自分を映す鏡を常時持っているから。

自分の中で女子がこじれている感がある人はデパートの1階へ行くことをお勧めします。ぼやけた自分像のピントがちょっとは合ってくる気がします。

8 コメント

  1. なるほど!デパートの1階へいけばよかったのですね。
    そこで、アイデンティー探しに時間をくっている今の私のこじれがほどけて、香りという鏡を手に入れることができていた、
    というわけですね。

    今までは、デパートに足を踏み込んで横切ろうものなら、横切り終わったころには数枚の香り付き小型カードが掌中にあり、
    本のページにはさむすてきな栞が収集できる場所くらに思っていましたよ。

    でも、たかが香り、されど香りで、フレグランスの森の奥は相当に深いのですね~。

    自分の香りさがしはずっとやっています。結局、見つけていないので、ずっと、香りなしです。
    そのことを、sunnysiderさんも私にも共通知のM・Hさんに話しましたら、
    「アラ、まだ見つけていないの?私は見つけましたよ。Fujiです」なんだそうです。
    Fujiってどんな香りなのかしら。

    Sunnysiderさんと私が一緒に働いていたときに私が愛用していたのは「BYZANCE ビザンツ」でしたよ。
    当時、これぞ、大人の香りと信じ込んでいました。
    青に金のラベルと赤のリボンのついたオーデトワレの丸い瓶は今も残しています。
    ところが、NIL製品となり、もう入手不可能。売れ筋商品には乗れなかったのですね。

    東洋人を打ち出したほうがいいのかなと、鳩居堂の匂い袋のような香りを求めて、最近、日本からやってきた友人に資生堂の「ZEN」を買ってきてもらうようにお願いしました。空港で探しまわってもらったようですが、なかったのだそうです。
    東洋的なあんな香りが果たしで自分に合うのかどうかは分からないまま、自分の香り探しはまだ続いていますね。

    • 釉子さん

      おひさしぶりです。
      Michael KorsがIsland Fuji というのを出していたようで、またはこれ?http://www.fragrantica.com/perfume/Stacked-Style/Fuji-Flower-8940.html

      このFragranticaは香水好きのフォーラムでかなりのデータがあるので参考になりますよ。Byzanceもありました。すてきなボトル、香りも大人なのでしょうね。
      http://www.fragrantica.com/perfume/Rochas/Byzance-1423.html

      香りだけではなくて、物事はたいてい「好き」という物差しが大事なんじゃないかと思います。日本人とかオージーとかではなく、まず自分が好きかどうかが一番ですよ。その次に自分に合うかどうか。

      会社のキッチンに9時から9時半の間に行くと、出社してまずコーヒーや紅茶を淹れにきた人たちから多様な香りが漂ってきます。朝、家を出るときにつけてきたパフュームの香りがしっかり本人たちの周りにまとわりついているので、嗅ぎ回っては人に訊ねています。おなじパフュームをつけてもその人とは同じ香りにはならないところが余計に自分の香り探しが難しいところですよね。この間あまりに強烈なベリーの香りでなんだこれはと思っていたら誰かの朝ご飯でした。新製品のフルーツフレーバーのporridge(笑)

      ただ思うのは青い鳥と同じじゃないかと。まだどこかにわたしの香りがあるんじゃないかと遠い未来や場所に思いを馳せるのではなく、今日、今週、今月に嗅いだ香りのなかで好きなものっていうかんじで、限られた出会いの中でのチョイスに足るを知るというんでしょうかしら。なんだかわかったような偉そうなことをいっているようですみません。自分も時代も流行も変わります。だから自分の香りに長いこと固執する必要もないですしね。

      なので、先週ずっと会社の帰りにサンプルを嗅ぎ回って、手につけて香りをお持ち帰りして変化をお試しし、その中から2本買っちゃいました。
      そのうちまた、もっと好きな香りに出会ったらまた買えばいいやということで。

      釉子さんに素敵な香りとの出会いがありますように。

      • 面白いお話ですね。どうもありがとうございます。
        フルーツフレーバーのporridgeは、笑っちゃいますね。

        Sunnysiderさんの回答を読んで、パッ、パッと連想がいくつかひらめきました。

        先週末、探鳥に出かけたとき、林の中でいい香りが漂うので、おなじく探究心旺盛なので、発祥は誰?とめぼしをつけたら、青いシャツをきたアメリカ人のMichaelでした。それの名は?と尋ねたら、エッと驚いた風。ディオドラントなんですって。あとで、探鳥のこんな場所にあんなに香り高いものはつけるべきではないわよと、おばさんの1人がぼやいていました。

        ミューちゃんが、外にいるとき、通勤の人たちに頭をなでられ、毎日違う香りを持って、家に’戻ってきたりしていましたね。そういえば。

        先に述べましたが、香りをふきつけた栞風カードに名前は裏に書いて別、別に保管して、あとで、家で嗅いでみると不思議に、皆同じ香りに戻っているのですね。

        そうですね。人によって同じ香りが変わるのですよね。私が大好きだったCDのディオリッシモ。つけるとそれほどでなくなるので失望。でも、香りだけでは今も好きです。

        香水は単品でつけるものでなく、他との組み合わせで独特の香りを作りだすものという新聞記事があり、その組み合わせの例が5つほど上げてありました。5種を全部試すのは至難の業。でも3種くらいは試しました。
        その記事は今もありますよ。今、スクラップをあげたら、ページの間から香りが、フワァーとただよいました。

        それで、購入へと至った、2本のお好み具合はいかがですか。

  2. バードウォッチングだと、あの箱のような小屋(すみません!呼び方をしらない。。。。)で息をひそめて長時間すごすのですよね。体臭を気にしてつけたデオドラントが裏目にでたわけですね。
    フレグランスさがしはそうなんですよねぇ、持続性と周囲に拡散する度合いも大きなポイントですよね。

    短期決戦型フレグランス探索で気に入ったのはDiorの J’adore L’or (フローラル系)とDolce&Gabbana のThe One(バニラ系ーちょっとクセありかな)です。それからNarciso Rodorigez。
    お花お花したのが好きみたいです。

    また好きでも廃盤になったり、ロングセラーのものはreformulationされることがあり、人生いろいろです。わたしがシドニーでつけて大人の振りをしていた(今考えると全然似合っていない)YSL Parisはreformulationされていました。

    ではではこのへんで。これから会社へ行ってきます。出張者が来ていると違う香りが漂っているキッチンでまず紅茶を入れてから1日が始まります。

  3. フレグランスとはちょっと違うかもしれませんが、初めてハロッズに入ったときに
    「あああ、なんていい香りがするデパートなんだ!」と思った記憶があります。

    香りって記憶に残りますね~、うまく表現出来ないけれど、記憶には確かに残っている。
    同じ香りを嗅ぐと、その記憶が突然蘇ってきて、なんかセンチメンタルになったり。
    フレグランスのフラグメントでございます。

    爺さんながらここ20年ぐらいは同じ香りで、しゃねるのエゴイストをつけております。

    • そうですねぇ。嗅覚の記憶ってなんだか不意打ち的にリアルに蘇りますよね。視覚や聴覚とは次元が違いますよね。その不意打ちぶりがセンチメンタルな感傷を呼び起こすのかな。

      また、ネーミングの効果も大きいですね。シャネルを20年愛用、エゴイストですか。かっこいいですーー。熊さんは何から何まで洒落者なんですね。行きつけのレストランや飲み屋、音楽の趣味も素敵ですから。

  4. フレグランスの森で子鹿のようにさまよい歩く。。憧れます。香り豊かなsunnysiderさんの職場、羨ましいです。そちらでは3/15が母の日なんですね。5月はアメリカと日本だけなんでしょうか。
    亡くなった祖母のお気に入りの香水がディオリッシモでした。母は香水はつけていなかったとおもいますが、子どもの頃、なんとも言えずいい香りがしたような記憶があります。シャンプーとニベアの香りだったのかな。嗅ぐと安心できる香りでした。(いまはあまり感じない。ごめんお母さん)
    自分が昔使っていたのはラルフローレンのglamorous 、エルメスのテールドエルメスとオードメルヴェイユ、、。洋服のブランドの派生商品ばかりですね。香りも気に入っていたとおもうのですが、広告イメージやブランドイメージに惑わされていた感もありあり。。。使い切れずだいぶ残ってますが、香り残っているのかしら。。。
    海外にいくと、香りが豊かなので、帰国すると香水をつけてみたくなっていたものでした。学生の頃、NY在住の従姉妹の自宅に香水が沢山並んでいたのを見て、興味を持ったのがきっかけだったことを思い出しました。
    今は気に入ったルームフレグランスを香水がわりに撒いてます。。子どもたちから 「ママくさい」においがする〜、と言われるときがあるのですが、どうか臭くありませんよう(T . T)

    • 子鹿のようにではなくて、実は古だぬきが徘徊していたわけだったのですが、まぁそのへんはご愛嬌ということで(笑)

      お祖母さまがディオリッシモなんて、あの年代の方のなかではずいぶんお洒落な方だったのでしょうね。コンディショナーがリンスと呼ばれていた時代の香り、なつかしいです。どんな香りでもお母さんの香りは優しくて安心できるものでしょうね。石鹸の香りも好きですが、今やシャワージェルばかりです。香りにまつわる思い出は人それぞれでしょうが、前に森のくまさんが書かれているように、センチメンタル。

      エルメスは特に高級感があっていいですね。最近のだとさっぱり系の地中海の庭やナイルの庭なども特に夏向きによさそうです。まぁ、自分がいいと思っても人には嫌な香りにもなりえるので、使う量とTPOの加減がほんと、むずかしいですね。

      ルームフレグランスといえば、娘がアロマキャンドル大好きで、いろいろ持っています。無印良品のは蓋つきのシルバーの缶入りで香りも10種類以上あってお値段も手ごろ。おすすめします。http://www.muji.eu/pages/online.asp?Sec=17&Sub=71
      ヒノキと梨がお気に入り。

      今、ふと思いました。自分の子供達って、お母さんの香りというと何を思い浮かべるのかなぁって。

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