フェミニズム運動にみるハイヒールの社会性

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ハイヒール着用義務反対署名運動がニュースになっていました。えっ?ハイヒールを着用する義務?と思いますよね。ぱっと聞くとそもそもそんな義務があることすら不可解。イギリスの国会に法案提出となり話題になったのが2ヶ月ほど前のことで、この運動は次の出来事が発端です。

ロンドンにある大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパーズ(以下PwC)に受付嬢として派遣されたAさん。彼女はローヒールの靴を履いて出勤しました。主な仕事は来訪者を受付から会議室へ案内すること。その立ち仕事を9時間ハイヒールでこなすのはつらいからです。ところが、出社したその場でハイヒールを買いにいって履き替えるよう指示されました。それを拒否した彼女は仕事をすることを許されず、帰宅させられもちろん日当はでず。

この出来事がSNSから拡散し、職場でハイヒール着用を強制することを禁止する署名運動につながったのです。これを支持するジュリア・ロバーツが映画祭のレッドカーペットに裸足で登場して、世界的にもニュースになった話題。

わたしの職場でもこのニュースにふれる人がいましたが、軽いジョーク的話題で男女共に馬鹿げていると一蹴しておわり。でもなんだかもやもや感がぬぐえなかったのです。

受付嬢の特殊性

会社の受付は来訪者を迎え入れ、連絡・情報を回して人と人をつなぐ仕事です。来訪者にとって企業のファーストコンタクトポイント。印象は大事。本来この業務は常識を持ち、機転が利き、にこやかに挨拶ができる人であれば男性でも年配の人でもよいはずです。アメリカ系アパレルブランドのショップでよくみる自社ブランドのTシャツを着てハウディという感じでにこやかに挨拶する男性ののりでもいいではありませんか。しかしほぼ100パーセントに近い割合で受付は若くて容姿の整っている女性。しかも欧米ではブロンドの割合が高い。ブロンド女性のアイデンティティについて掘り下げるとここではカバーしきれないので省きます。フェミンであることイコール仕事そのものになっている。これはもう全世界的社会的バイアス。そして経営の効率化が徹底している大企業ではアウトソースされ、署名運動を起こした女性のような人が派遣されています。

受付嬢に限らず飲食業、コンパニオンなど女性であるということが仕事の重要な要素になっている職業に就く女性の人口は意外に多く、ハイヒール着用を義務化されている場合が多いらしい。

人材派遣会社の板挟み

舞台となったPwCはハイヒールの義務化などといったドレスコードを課してはいないと発表。彼女を雇用したのはPwCではなく受付やアドミサポートの派遣会社。つまりサービス業。金融街の保守的でプロフェショナルな世界で、ビッグ4と呼ばれる世界的にも有名なクライアント側がハイヒールを条件にしていなくても、顧客を獲得するには商品を流通させるならQA保証をするように、派遣側は不文律の業界スタンダードのガイドラインを課さざるをえない。そんな立場もわかります。

ネクタイVSハイヒール

一部の男性は、自分たちはスーツとネクタイ着用がほぼ義務化されているのだからハイヒールも同じだといいます。たしかに真夏の暑い日はワンピースに限るわと思うんですが、首の近くまでボタンをかけそのうえ首を紐で縛っている男性諸氏、大変ですね。でもスーツとネクタイのコンビネーションに男性らしさを感じますか。わたしの目にはノーです。背広というドレスコードにはセクシャリティは含まれていないと思います。女性だってビジネスライクな服着用は求められる。黒・グレー・紺のスーツに中ヒールかハイヒールがスタンダード。でも彼女たちの多くはデスクワーク。一方10センチの細いハイヒールで立ち仕事はかなりきびしい。健康上の問題を引き起こすことが科学的に明らか。

雇用契約違反

これをいっちゃうと嫌味にきこえちゃうかもしれませんが、彼女はあらかじめドレスコードを含む雇用契約にサインしています。それはハイヒールが含まれていた。もしハイヒールを履くことが不当であれば、サインする前に、そして派遣先へ到着して返される前に申し出るのが筋だったはず。でもそうしちゃうとただの泣き寝入りで、こうやって社会全体にアピールするきっかけにはなりませんでしたね。なので働かなくて日給をもらえなかったこと自体に派遣会社に落ち度はありません。ハイヒール着用を義務化しているということが論点。

ハイヒールを履け=女性的ステレオタイプの押し付け。ということで職場で義務化すべきではないという論争は賛同します。法案が可決されても正直なところ大きな社会的変化にはならないでしょう。でも一石を投じたことにはなります。いまでは女性のパンツスーツはビジネスシーンでもOKになっていますが、数十年前まではNG。社会全体の意識の問題で、無理そうにみえていても、時を減れば変化は訪れる。

このニュースを聞いて考えた挙句認識したのは、フェミニズム運動でのハイヒール位置づけを通り越して、ハイヒールそのものが有するクオリティです。

ハイヒールほど深い意味合いを含むパワフルなファッションアイテムはない

ということ。

ドレスコードは洋服だけでなく靴を含めたトータルなもの。カンヌ映画祭でハイヒールを履いていなかった女性が入場を拒否されたのも話題になりました。つま先があいているとかあいていないとか、ヒールの形、高さ、素材でファッション性から履く場所や日時や用途が全く異なります。恐ろしいほどパワフルなアイテムです。シンプルなスキニーのジーンズにゴージャスなハイヒールを合わせただけで社会性、ファッション性、他人の目にどのように映るか、そして自分がどう思うかがどれだけ変わることか。

先日職場に真っ赤なハイヒールを履いてきている若い女性社員がいました。花柄とフリルは苦手、モノトーンが中心の素っ気ない服が中心のわたしですが「うわーっ、いいわぁ。一度でいいからあれを履いてみたい」と思う自分がいるのに気づきました。あれほど歩きにくく足の健康にもよろしくないものながら、自分の中にもとから在る、そして社会からインプットされた「女性らしさ」といわれるらしいものの否定したい部分と肯定したい部分の両方ひっくるめてた想いを刺激する。ハイヒールに秘められたフェミニ二ティは日本で安易に使わている「女子力」という言葉を笑い飛ばすほど深いよなと思うのです。

ブログをWordpress.comからWordpress.orgに移転してデザインを一新しました。読者の方これまでいただいたLikeがゼロになってしまいましたが、これからもよろしくお願いします!

 

2 コメント

  1. わわわぁ~っ☆ ブログのレイアウト・デザインが素敵っ!! レイアウトやカテゴリーもシンプルで充実していて、うっとりです♪ 自分で選ばれてカスタマイズされたんですよね。プロフェッショナルなデザイン(見せ方)なので、一瞬、間違えたサイトに迷い込んじゃったかと思いました(笑) 素敵だなぁ~。sunnysiderさんの記事はとてもおもしろいし読み応えがあるので、オンラインの雑誌のようです。こうしてカテゴリーがきっちりと分かれていると、読んでないものも探しやすくていいですね♪

    ハイヒールが義務付けられている職があるなんて!と、私も驚いたあのニュース。ふと、中国の「纏足」を思い出しちゃいました。
    でもでも、わかります。真っ赤なハイヒールを履きこなし、歩き方の美しい女性って、雑踏の中の赤いバラ、ですよね~。ストレートに「かっこいいな」って思いますもん。義務付けられるのはお断りだけれど、私的にはハイヒールを履きこなせる女性には黒豹の様な…揺るぎない自然美をみてしまいます。女子力とは違いますネ。

  2. papricaさん

    ありがとうございます!いや〜ブログ移転・デザイン変更大変でした〜。と過去形にはできない。わからないこと山積み状態の見切り発車です。papricaさんはその後お加減いかがですか。いつも前向きそしてハートのあったかさに元気をもらっています。無理しないでくださいね♪

    ハイヒール、そうなんです。義務付けられるのはお断りだけけれど、そのパワーには惹かれるものがある。微妙です。上の写真、わたしの持ち物なんですがかかとが減っていないでしょう。持ちぐされ。

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